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― 豊田さんは那須塩原市の「地域おこし協力隊」に数年前まで着任していたとお聞きしました!
★「地域おこし協力隊」とは
都市地域から過疎地域等の条件不利地域に移住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組。隊員は各自治体の委嘱を受け、任期は概ね1年以上、3年未満(総務省HPより)
豊田
そうです。市の観光プロモーション担当として、SNS発信やインバウンド旅行者を増やすための企画などを行っていました。海外のブロガーさんが那須塩原にお越しの際にご案内もしました。
― 着任したのはいつごろですか?
豊田
大学4年生の後半からです。都内の大学生だったため、当時は那須と東京を行ったり来たりしていました。
― 大学生からなんですね!那須とはそれまでに関わりがあったんですか?
豊田
いえ、出身地というわけでもないので、ほぼ知らない土地でしたね。
― そんな土地でまずは任期の3年間やってみようと。
豊田
はい。でも「将来はどうしようかなぁ」と思っていました。「地域おこし協力隊」に参加して2年目くらいまでは悩んでいて。東京に戻ってみんなと同じように企業に就職してみたい気持ちもありました。
― 大学卒業後にそのまま東京を離れて「地域おこし協力隊」。3年間の任期を終え、最終的にはそのまま那須に移住されたんですよね。
豊田
そうです。
― きっかけは何だったんですか?
豊田
大きなきっかけは、『街音 matinee』でいま使わせていただいている空き家との出会いでした。
★「街音 matinee」とは
黒磯駅前商店街の元紳士服店をDIYで改装し、2018年6月にオープンしたゲストハウス。JR黒磯駅から徒歩3分。「ふらっと、深い出会いを」をテーマに、地域の日常を感じられる旅宿として若者を中心に旅行者に愛されている。
― へぇ!物件との出会いがきっかけで。
豊田
はい。もともとは1階が紳士服屋さん、2、3階が住居スペースという建物でした。商店街のど真ん中にあって、駅から歩いてお越しいただける距離という立地に加えて、屋上があるというのが魅力的で。こんないい物件をお借りできることも巡り合わせだと思い、もう少し那須で暮らしてみることを決めました。
― そもそもどういう経緯で空き家を借りることになったんですか?
豊田
借り手を募集している物件ではなかったそうですが、「ゲストハウスをやりたいと言っている子がいるから、そのままにしておくくらいなら貸したほうがいい」と地域の会長さんが周りにおっしゃってくださったんです。
― 以前からゲストハウスを運営することに興味があったのですか?
豊田
「地域おこし協力隊」の面接でもゲストハウス「みたいな」ことをしたいと話していましたね。
― そうなんですね!「みたいな」というのは「場」をつくるようなイメージでしょうか。
豊田
はい。空き家の活用や「場」づくりに興味がありました。分かりやすいので「ゲストハウス」という言葉を使っていましたが。
― とはいえ、思い切ったご判断ですよね……!いい物件と出会えたからといって、踏み出せる人は多くはないと思います。ちなみに当時の豊田さんにとって、ゲストハウスをつくると決めることは「踏み出す」という感覚でしたか?
豊田
物件との出会いも人との出会いも、すごく運がいいなぁと思うんですね。自分がやっていることは、目指すゴールに向けて「踏み出す」というより、流れを楽しんでいるような感覚……が近いと思います。
(つづきます)