#3 ゲストハウス「街音 matinee」運営 / 豊田彩乃さん③

― 大学卒業後に企業就職をせずに「地域おこし協力隊」へ着任されましたが、その経緯をもう少し詳しく教えていただけないでしょうか?「そういう選択肢もあるのか!」って個人的には驚きました。

豊田
実は、広告代理店などに興味があって、就職活動はしていました。でも途中でやめました(笑)。

― そうなんですね!

豊田
3年生が終わったタイミングで就活を一旦ストップして休学をしたんです。留学したいとずっと思っていて、そのまま就職することにずっとモヤモヤがありました。最終的にやりたいことをやってみる期間にしようと思い、休学を選択しましたね。

― 休学期間は何をされたんですか?

豊田
蓋をあけてみると、留学はせず、日本一周と世界一周の旅をしました(笑)。

― なんと!詳しく聞きたいです(笑)。

豊田
最初は留学資金を貯めるために仕事を探しました。たまたま大手企業のアルバイト募集の情報を見つけて。それが少し変わっていて、日本全国を回って、駅伝形式で現地の人がタスキを繋いでいくチャリティーイベントのサポートでした。10人くらいで3台のハイエースを交代で運転しながら、半年間かけて47都道府県すべて回りました。

― すごいですね!その経験を通じて豊田さんのなかで変化したものってありますか?

豊田
いろいろあるのですが、その半年間は最低でも10人くらいの方に毎日出会ったんですね。毎日毎日、「はじめまして」「さようなら」を繰り返す。そのうち、文字通りいろんな人がいることを実感しました。なんか不思議な経験でした。

― その後は、海外を旅したんですか?

豊田
そうです。3ヶ月かけて10ヶ国前後まわって。

― 旅づくしの一年間だったんですね。

豊田
はい。でも日本一周のときも海外のときも、自分が旅人という感覚は一切なかったですね。「旅」をしてるというより、「探検」とか「研究」に近い感じでした。

― フィールドワークのような。

豊田
そうです、まさに。大学が社会学部なので、いろんなところでフィールドワークをしている気持ちで回っていました。

― その街の文化を見に行っている感覚というか……。

豊田
そうです、そうです。いま那須にいるのも感覚としては似ています。

― その経験があったからこそ、「地域おこし協力隊」に興味が出てきたということでしょうか?

豊田
もともとは海外で働くことにも関心があったのですが、休学の経験を通じて、改めて日本に気持ちが立ち戻りました。「もっと知られていい場所があるなぁ」「もっと魅力を伝えたいなぁ」という気持ちが起こり、そこから「地域おこし協力隊」に興味を持ちました。もともと広告代理店も、知られていない魅力を伝えたいという想いから受けていました。それを地域の人と同じ立場でしたいと思ったんですよね。

― でも周りからはいろいろと言われたりしませんでしたか?

豊田
いっぱい言われました(笑)。

― それでも選択することは怖くなかったですか。

豊田
そうですね……怖かったですね。でも自分のなかの一番のチャレンジって休学したことなんですね。そのときはさすがに怖かったです。それまでは浪人もしたことなくて、両親としてもすーっと行くと思っていただろうし……。

― 順調に就活して。

豊田
なので、当初は休学に反対されました。でも、やるって言ったら聞かない子っていうのは両親も知っていたので(笑)。じゃあ全部自分でやりなさいと最後は許してくれました。そのタイミングが一番のチャレンジで、それからはやりたいことをただやっていったという感じでしょうか。

― へぇ~!

豊田
確かに周りが社会人1年目として就職して全然違うルートを進んでいるので、当時は不安もありました。でも那須に来てからはだんだんとなくなっていきましたね。上へ上へと目指す上昇志向のようなものから一度外れて、こっちに来てからは、横並びにいろんな人がいるなかで、もっといろいろなことを楽しもうという意識に変化していきましたね。



(つづきます)

那須の玄関「黒磯駅」から徒歩3分。
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