#3 ゲストハウス「街音 matinee」運営 / 豊田彩乃さん④

― ゲストハウスに興味を持ったのも、休学期間に国内外の街に足を運ぶなかで、ですか?

豊田
1つのきっかけになっているのは、イスラエルの「イブラヒムピースハウス」というゲストハウスですね。エルサレムにあって、周りは殺伐としているエリア。でもそこに行けば地元の子供たちや旅人と会える場所でした。「イブラヒムおじいさん」の宿としても有名です。

― 「イブラヒムおじいさん」は聞いたことあります!

豊田
イブラヒムおじいさんをはじめ、宿の人が周りの人たちに私のことを「こういう旅人だよ」って紹介してくれて。「あ、宿に来てるバックパッカーなんだ」と分かってもらえると、現地の人や旅人とも自然と関わることができました。繋いでくれる人って重要なんだなぁって感じました。繋ぐというか、溶け合わせる、というか……。とてもおもしろい経験でしたね。

― そうやってゲストハウスへの興味が深まっていたと。

豊田
そうなんです。それと、初めての一人旅で訪れたタイも印象に残っています。そこでもゲストハウスの人に助けられました。キョロキョロしている私を見て、バイクに乗せて街を回ってくれたんです。「サービスじゃないやさしさ」を感じたことは、いまも印象に残っています。

― そういう経験って、残りますよね。

豊田
その2つの経験をきっかけにゲストハウスに興味を持ちはじめましたね。

― なるほど~。確かに印象的ですけど、そこから自分でゲストハウスをつくるっていうのがすごい……。何度も言っている気がしますが(笑)。

豊田
おそらくですが、人を媒介することで知らないことを知れたり、文化の理解を深めたりできると考えて、そこから人が集まって混ざり合う「場」に強烈に興味が向いていったんだと思います。

― ゲストハウスという「場」で起こることに興味があるというか。

豊田
ええ、まさにそうです。『街音 matinee』は「ふらっと、深い出会いを。」というテーマで運営しているのですが、やりたかったことはそれです。「ふらっと、深い出会いを。」がつくれるなら、休憩所でもなんでもよかった。たまたまゲストハウスでお世話になった経験があったこと、街にゲストハウスが少なかったことが重なって、いまの『街音 matinee』のアウトプットになっているだけなんです。

― 「イブラヒムおじいさん」のように地域の人と旅行者の人を混ぜ合わせるために、豊田さんが工夫されていることはありますか?

豊田
コロナ前だとイベントをいろいろと企画して、遊びに来ていただいたんですけど、いまはなかなか難しいので、時間が許す限り自分も街に出て一緒にお散歩しています。地域の人にも紹介しつつ、おしゃべりを楽しみながら。

― 確かに豊田さんが連れてきたら、地域の人とも混ざり合いやすいです。

豊田
そうですね。それと、自分の知らないところで、宿泊されている方と地域の方のコミュニケーションが起きてるんだろうなぁという感じです。自分がいなくても、宿のなかじゃなくても、話すきっかけが生まれてるんじゃないかな。「今日、『街音 matinee』に泊まっていて」って。会話のツールとしても、ゲストハウスってなかなかおもしろいなぁと思います。



(つづきます)

那須の玄関「黒磯駅」から徒歩3分。
「街音 matinee」のHPはコチラ
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