― 『街音 matinee』ができるまでについてもう少しお聞きしたいのですが、オープンまでにどのくらいの費用がかかったんでしょうか?
豊田
持ち出しは50万円くらいでしょうか。私の場合は、創業支援金なども活用させていただきました。それと、地域の方々とイベントで巻狩鍋を作って販売したことがあるんですが、一緒にイベントに出た方々が「売上をDIYの費用などに使っていいよ」って言ってくれて。
― 『街音 matinee』は豊田さんだけのプロジェクトじゃなかったんですね。
豊田
そうです。助けてもらいながら、稼いで、つくって。全部みんなで楽しみながら。すごくありがたかったです。
― 大人になるとそういう体験なかなかできないから、旗を上げてくれる人がいたら参加したいって思うのかもしれない……。ちなみに今のお話だと、ゲストハウスは元手として150万円くらいあればできるということでしょうか。
豊田
そうですね。自分たちでDIYすれば150万円なくてもやりようはあると思います。
― じゃあ私にもできるかも、と思う方がいるかもしれない。
豊田
想定しているよりも、周りの人はいろいろな物を持っていて、スキルもあって、助けてくれました。本当にありがたいです。だから「全てを自分でやらなくちゃいけない」と考えなくても大丈夫だと思います。
― なるほど!そうやって地域の方に後押ししてもらえたのは、「地域おこし協力隊」で信頼関係を築いていたことは大きかったですか?
豊田
はい。「地域おこし協力隊」という肩書があると「地域おこし協力隊です~。こんなことしておりまして……」と知らないお店にも飛び込んでいけるんですよね。
― とはいえ、街の方たちと関係性を築いていたとしても、自分でゲストハウスをつくろうと決めることがすごいなぁと思います。
豊田
もともと興味を持っていたというのもありますが、もう1つの理由として、私が来た当時はこの街にゲストハウスが一つもなかったんですよね。すごくもったいないなと思っていました。それで「ないのなら自分でつくってみよう」と。
あるいは、旅館やビジネスホテル以外の選択肢がこの街で失われたままになってしまうのは、もったいないなという思いでしょうか。私が来たときに近所の複合施設のChusさんがゲストハウスを始めるとおっしゃっていたので、「まぁもし空き家が見つかったら、テイストが全然違うゲストハウスがもう一つくらいあってもいいかなぁ」と思っていましたね。
― そういう経緯だったんですね!
(つづきます)