#4 吉田村ビレッジ 村長/伊澤敦彦さん④

― 少し話が変わってしまうのですが、伊澤さんってどんな少年だったんですか?

伊澤
小中は一応、学級委員とか生徒会とか……。

― やっぱりみんなを引っ張るタイプだったんですね!

伊澤
実はそうでもないんですよ。先生にやれっていわれたからやっていましたが、基本的に僕は「みんな、いくぞー!」ってタイプではなくて、群れるのが嫌いな一匹オオカミなんですよ。

― いま祭りをやられているのが意外ですね(笑)。

伊澤
自分では入っていこうとしないけど、そういうのに引っ張り込まれることは多くて。それで一度引っ張られてしまうと、そこではテキパキと進めたがる子供でしたね。

― 結果的にまとめ役になるというか。

伊澤
幼稚園のときが一番しっかりしていた時期で(笑)。お餅つき大会のときに、大人側に混ざって他の子どもたちに指示出しをしてたらしいです。「はい、危ないからそこだめだよー」とかって。

― 幼稚園のときから仕切って。

伊澤
ほんとは輪に入りたいなと思っていてもいざそこに「入りなよ!」って言われたら「いや、いい、いい…」っていうやつでしたね(笑)。輪の中で楽しんでいる人たちへの憧れのようなものはあるのに、ひねくれているというか。散々イベントとかやっているので、祭り好きな人だと思われてますが、そういう意味ではちょっと違いますね。

― へぇ~!

伊澤
スーパー天邪鬼なんですよね。

― 他にはどんなことが好きな少年でしたか?

伊澤
親がいちご園やっていたので2人ともずっと忙しくて、当時からなんでも自分でつくっていましたね。お昼ごはんもおやつも。ケーキ食べたいってなれば「つくっか!」って。母親にねだるものはいつも調理用具。中華鍋買ってもらったときは、ひたすらチャーハンの研究したり。

― すごい!

伊澤
バレンタインのお返しも全部手作り(笑)。シュークリームつくってみたり、いちご園だからいちごはたくさんあるので、それに合うお菓子を考えたり。

― 僕、女の子だったら伊澤さんにチョコ渡してますよ。お返し目当てで(笑)。

伊澤
なんでも自分でつくっていましたね。

― なんとなく、祭りの準備のときのお話と繋がっているようにも聞こえました。

ちなみに、その当時の伊澤さんが見ていたこの地域の風景で、印象的なもの、いまも覚えているものってありますか?

伊澤
この地域って、那須のように山に囲まれているわけでなく、田畑がばーって広がっているんです。なので、空がめちゃくちゃ広くて、夕焼けがとても綺麗なんです。高校生の時も夕暮れの時間は自転車で帰りながら「すげえなこれ」「わー」とかいいながら空を見ていました。それはまさに原風景ですね。

― その風景はこちらに戻ってきたいまも。

伊澤
変わらないですね。いまも毎日感動しますよ。その感動をこの地域以外の人にも知ってほしくて、農業体験などを企画してます。この地域の魅力ってまさにそういう「何もない」ところですよってうたっている所以はそこです。「何もない」って不便だけど、それゆえの景観もあって。それを発信していくことが僕のミッションなんじゃないかって。


(つづきます)

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