― 少し話が変わってしまうのですが、伊澤さんってどんな少年だったんですか?
伊澤
小中は一応、学級委員とか生徒会とか……。
― やっぱりみんなを引っ張るタイプだったんですね!
伊澤
実はそうでもないんですよ。先生にやれっていわれたからやっていましたが、基本的に僕は「みんな、いくぞー!」ってタイプではなくて、群れるのが嫌いな一匹オオカミなんですよ。
― いま祭りをやられているのが意外ですね(笑)。
伊澤
自分では入っていこうとしないけど、そういうのに引っ張り込まれることは多くて。それで一度引っ張られてしまうと、そこではテキパキと進めたがる子供でしたね。
― 結果的にまとめ役になるというか。
伊澤
幼稚園のときが一番しっかりしていた時期で(笑)。お餅つき大会のときに、大人側に混ざって他の子どもたちに指示出しをしてたらしいです。「はい、危ないからそこだめだよー」とかって。
― 幼稚園のときから仕切って。
伊澤
ほんとは輪に入りたいなと思っていてもいざそこに「入りなよ!」って言われたら「いや、いい、いい…」っていうやつでしたね(笑)。輪の中で楽しんでいる人たちへの憧れのようなものはあるのに、ひねくれているというか。散々イベントとかやっているので、祭り好きな人だと思われてますが、そういう意味ではちょっと違いますね。
― へぇ~!
伊澤
スーパー天邪鬼なんですよね。
― 他にはどんなことが好きな少年でしたか?
伊澤
親がいちご園やっていたので2人ともずっと忙しくて、当時からなんでも自分でつくっていましたね。お昼ごはんもおやつも。ケーキ食べたいってなれば「つくっか!」って。母親にねだるものはいつも調理用具。中華鍋買ってもらったときは、ひたすらチャーハンの研究したり。
― すごい!
伊澤
バレンタインのお返しも全部手作り(笑)。シュークリームつくってみたり、いちご園だからいちごはたくさんあるので、それに合うお菓子を考えたり。
― 僕、女の子だったら伊澤さんにチョコ渡してますよ。お返し目当てで(笑)。
伊澤
なんでも自分でつくっていましたね。
― なんとなく、祭りの準備のときのお話と繋がっているようにも聞こえました。
ちなみに、その当時の伊澤さんが見ていたこの地域の風景で、印象的なもの、いまも覚えているものってありますか?
伊澤
この地域って、那須のように山に囲まれているわけでなく、田畑がばーって広がっているんです。なので、空がめちゃくちゃ広くて、夕焼けがとても綺麗なんです。高校生の時も夕暮れの時間は自転車で帰りながら「すげえなこれ」「わー」とかいいながら空を見ていました。それはまさに原風景ですね。
― その風景はこちらに戻ってきたいまも。
伊澤
変わらないですね。いまも毎日感動しますよ。その感動をこの地域以外の人にも知ってほしくて、農業体験などを企画してます。この地域の魅力ってまさにそういう「何もない」ところですよってうたっている所以はそこです。「何もない」って不便だけど、それゆえの景観もあって。それを発信していくことが僕のミッションなんじゃないかって。
(つづきます)