#2 日用市運営スタッフ/大学院生 松本和花子さん②

松本
行政と民間が連携して行う「リノベーションまちづくり」というのがあって。

― はい。

松本
当初の仮説としては、黒磯の『SHOZO Street』界隈には「リノベーションまちづくり」のような官民が関わるプロジェクトベースのコミュニティがあるのかなぁと思っていました。でも、インタビューで『1988 CAFE SHOZO』の省三さんにお話を聞くと「全然そんなことないよ」って言われてしまい(笑)。「俺が人を集めてこういうところをつくったわけでもないし、みんなが自由に来て自由にお店をつくった結果がいまの黒磯っていう街になっている」とおっしゃって。

「あ、研究のアプローチを変えないといけないな」とそのとき思いました。

― 想像していた場所とはまた違ったぞ、と。

松本
でも事例として特殊なので、どこかと比較するのも難しくて……結局、『SHOZO Street』周辺にあるのは「移住者がつくる商店コミュニティ」ではないか、という切り口で卒業論文は書きました。

― 研究で方向転換はあったにせよ、地元でも縁遠かった黒磯という場所にそうやって徐々に関わっていくんですね。

松本
はい。週末や平日に東京から黒磯に来て、実家に泊まりながらインタビューを続けましたね。

― 和花子さんが『黒磯日用市』の運営に関わるようになったのは、そのインタビューがきっかけですか?

※『黒磯日用市』(以下、日用市)とは?
栃木県・那須の黒磯駅前にある広場で隔週日曜日に開催されるマルシェ。出店者のブースには、地元で採れる旬の食材や、広場で楽しめるグルメ、生活雑貨などが並びます。『日用市』のFacebookページにはこう書いてあります。『食を通して直接対話できる生産者と消費者の中間地点です。生産、消費両方の立場を持つ、わたしたちのつながりが広がり深まることを願っています。』

松本
そうです。2人目にインタビューしたのが『SHOZO Street』にある花屋さん『Dear,Folks & Flowers』の樋爪さんという方でした。その樋爪さんに「日用市に関わってみない?」と声をかけていただいたのがきっかけです。

― へぇ!どういう経緯なんですか?

松本
樋爪さんのインタビューは盛り上がって3時間くらいに及んだんですね。

― 大長編だ(笑)。

松本
はい(笑)。そこから『Dear,Folks & Flowers』の常連になって、聞きたいことがあったら樋爪さんに会いに行って、お話をして何か買って帰る、ということが何度か続いて。そんなある日『日用市』が再開するということを聞きました。

― あ、そのときは中止していたんですね?

松本
はい。『日用市』は黒磯駅前でやっていたんですけど、駅前に『那須塩原市図書館 みるる』をつくる建設工事が始まり、一時中止していました。樋爪さんから「2020年10月から再開するから関わってみない?」と言われて、「ぜひ!」っていうことになったんですよね。

― なるほどぉ。卒業研究のインタビューがきっかけだったんですね。

松本
そうです、そうです。

― 樋爪さんはなぜ声をかけてくれたんでしょうね。

松本
あ、それは私がたぶん黒磯出身だからです。よく言っていたそうです。『日用市』の運営側に地元の人がいないって。

― みなさん、移住者なんですね。

松本
そうです。なので、逆に珍しいタイプの人間だったんですよ、私が。

― 地元の若い人で、そのコミュニティのなかに飛び込んでいくのが。

松本
地元目線を持って、街に関わっていきたい人が運営側に加わってくれたらいいねって話してくださっていたみたいです。そういった経緯があって、たまたま入れてもらったという形なんですよ。

― なるほど。和花子さんを皮切りに、地元の若い人がどんどん関われるようになるともっと素敵ですね。

松本
もしかしたら街を一緒に盛り上げたいと思ってはいても、その方法が分からないというのはあるかも……自分もそうだったので。

― ええ。

松本
だから自分たちが、一緒にやろうって言えば関わってくださる方も多いと思うんですけど、同年代の方には「自分が関わる余地があるのかな」と思われているような……。

― もう完成しているものみたいな。

松本
うんうん。でも私が実際に入って思ったのは、そんなことなくって。

― そういうものですよね。

松本
オープンで、ウェルカムで、黒磯自体も発展途上。現在進行形で街がどんどん作られています。黒磯が若い人にとって地元の誇りのような場所になっていったとしても、じゃあ自分がそこに関わっていくとなるとどうしていいか分からないのかも……。

― 確かに、大学生の頃の僕は同じこと思いそうです。興味はあるけど自分に何ができるんだろうと。

松本
そうそう。だから少しずつ地元の方も関われるような仕組み作りができたらいいなと思っています。


(つづきます)

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